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奥井畳店による、畳文化を残すための試み

あなたは「畳がなくなるかもしれない」と聞いてどう思いますか?

「まさか!なんだかんだ言っても畳はなくならないだろう」

「確かに住宅では畳は減っているのかもしれないが、今もお寺とかには畳は残っているんだし、大きな問題にはならないだろう」

そう考える方がほとんどかと思います。

 

しかし、残念ながら1000年以上続いている畳文化は、今消滅の危機にあります。

 

一体何が起きているのかをご説明し、奥井畳店ではどういった取り組みをしているのかを記載していこうと思います(順次追加予定)。

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イ草農家 消滅の危機

このグラフを見ていただくとお判りの通り、イ草農家の数が激減しています。
平成元年に5400軒あった農家の数は令和元年には399軒。
令和4年度には314軒になり、来年度には5,60軒辞めるだろうと言われています。

なぜここまでイ草農家は激減してしまったのでしょうか?
その原因を探ります。

中国産が輸入され始めた

原因の一つに、激安の中国産が輸入され始めたことがあります。
当時の中国は人件費も安く土地の値段も安かったので、大きな工場が作れ、多くの人数に働いてもらうことが可能でした。

それにより大規模な収穫、製造が可能になり、激安の畳表が日本へ輸入されることになりました。
その安さから、畳問屋も取り扱いを始め、多くの畳屋が中国産を仕入れ、賃貸物件をはじめたくさんの住宅に中国産を使用し始めました。

お客様としても安く畳が替えられるということで、日本中に中国産が広まりました。

しかし激安だと品質も悪いのは当然。現地で日本人が監督している間は真面目に作っても、日本人が帰国すればまたクオリティが戻る、ということは茶飯事でした。
低クオリティの畳表は傷むのも早ければ、色変わりも汚く、「こすると着色料が衣服に付く」「アレルギー反応がでる」「変な匂いがする」等の悪い評判も立ちました。

ただ、残念ながらそれに気づくのは畳が敷き終わって2,3年したころ。
そのころには数多くの中国産が使用された後です。

加えて賃貸オーナーとしては安くすむ方がうれしいということで、賃貸=中国産という認識が出来て、日本中に広がってしまいました。

それにより国産畳表の需要の量が以前よりも少なくなり、価格も安くせざるを得なかったことも多かったはずです。
ギリギリで畳表を作っていた農家にとっては辞めるには十分な現象だったはずです。

内装の傾向が西洋寄りになってきた

日本は地震大国ですので、今までの家屋が倒壊し、建て替えが行われることもしばしばあります。
リフォームも多く行われ、築30年のお家をフルリノベーションしてまるで新築のように改装することも多いです。
その際に多くの和室が姿を消し、洋室に替わっていきました。

今まで1軒だけ建っていた土地に2軒3軒建つようになり、家の床面積も狭くなりました。
費用を安くするためにも板張りの方が手間が少なく安価になるので、わざわざ1室狭めの和室とリビングを作るよりも、少し広めのリビングを作るようになりました。

その背景には、海外での暮らし、特にヨーロッパ(北欧)建築や、アメリカナイズが日本で流行ったこともあるかと思います。
その結果、大手家具メーカーでの売れ筋はフローリング(板間)に合う家具になり、若者が部屋を借りる際も「畳の部屋じゃなくてフローリングがいい」ということで和室が嫌がられるようになりました。

それに対抗するように畳業界でも化学畳表という、天然素材ではないものが生まれ、ハウスメーカーを中心に流行っていきました。
しかし化学畳表は、ぱっと見はおしゃれに見えるものの、機能性において従来の畳とはまったく違うものだったため、そこまで多くは普及していません。
その数は現在でも日本全国の畳の内1割程度に収まっていることからもうかがえます。

跡継ぎが少なく、高齢農家が多い

初めのグラフにもあった通り、イ草農家の高齢化が進んでいます。
グラフを読むと、50歳以上の経営主が72%を占めています。60歳以上では46%でほぼ半数を占めています。

このグラフは「経営主」の数なので、世代交代が済んでいない農家の場合、跡継ぎの年齢は反映されていません。
しかし、跡継ぎの数は300数軒ある農家のうち60軒ほどしかなく、農家全体の1/3以下です。
そこから考えても、この数字はそのまま農家の年齢層ととらえて問題ないかと思います。

ではなぜこのように跡継ぎが少なく高齢農家ばかりになってしまったのでしょうか?

その理由として、『重労働に見合う賃金が十分にない』ということがあげられます。
年々減りゆくイ草農家に対して、機械や肥料の大手メーカーや中小メーカーの商品がどんどん値上がりしています。
需要が少なくなれば供給も少なくなるのは当然で、その価格が上がるのも避けられないことです。
それに加えて最近の原油価格高騰と円安の影響もあり、その価格上昇に拍車がかかっています。

問題は、そういった値上がりが発生しているのに、イ草農家は値上げをできないことです。

畳表は直接農家から畳屋へ運ばれてくる場合もありますが、大半が市場に出され値段が競りにかけられます。
最低価格もあるようなのですが、それは暗黙のルールのようなもので、実際には確定された数値はないようです。
なので、売れ残ってしまうよりはしっかり数を出したい農家からすると、少しでも安い値段でまずは出したいところ。あとはそれを競り落とす業者にかかっているということです。

つまり実質農家は、値上がりを自己負担でするしかないということです。
そんな状況では継ぎたいと思う若い世代もいません。

では一体そういう状況の今、小さな畳店にできることはなんなのでしょうか?

当店ではお客様の声をイ草農家へ直接届けております!【日本文化を守ろう】

イ草農家が辞めてしまう要因の一つに、「やりがい」があります。
畳屋の場合は、自分の製作した畳でお客様が直接喜んでいただけることがほとんどです。
納品しに行き、施工が終わった後の「ありがとう!」というお声は、何百回聞いても気持ちがいいですし、その満足したお顔とお声を聞くために頑張れています。

しかし、イ草農家は自分の届けた畳表を使用されても、直接御礼を言われることというのはほとんどありません。
当店では、施工した畳表がどの農家なのかをはっきりお客様にお伝えしているので、お客様から直接農家へお電話したり、メッセージを届けたりということがたまにありますが、全国的に見てもそのようなことは稀です。

つまり、農家は自分の畳表がお客様の役に立っているのかという実感がわきにくいということです。

奥井畳店では、お客様の声をイ草農家へ直接届けるために、施工が完了したお客様にアンケートを実施しております。
5分程度で完了する簡単なアンケートで、新しい畳が入った感想などを書いていただいております。
書いていただいたアンケートは、ある一定数回収した後、農家の方へ直接届けます。

そうすることにより、農家はお客様の声を直筆で直接知ることができます。
実際に自分の畳表が役に立ち、お客様が喜んでくれたということがわかります。
そしてそれが「やりがい」につながります。

このアンケート用紙でイ草農家の減少を食い止めるのは難しいかと思いますが、お客様の声を届けることで、イ草農家自体が少しでも未来のことを前向きに考えてもらえる状況を作ることができればと考えています。

当店のご紹介『奥井畳店』

奥井畳店

・電話番号
078-841-0351 (不在の場合携帯へ転送されます)
・メール
okuitatami@gmail.com
・住所
兵庫県神戸市灘区桜口町2丁目3-21
・配達地域
神戸市、明石市、芦屋市、三田市、西宮市、尼崎市、加古川市(他、要相談)
・営業日
月曜日〜土曜日(祝日も営業中)

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