【熊本震災】試練に立ち向かう畳のふるさと・熊本。い草農家を守り、日本の伝統文化を未来へ繋ぐために
この度の熊本地震および一連の災害により被災された皆様、ならびにそのご家族や関係者の皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。また、今なお避難生活や復旧作業で不安と背中合わせの日々を過ごされている皆様の安全と、一日も早い復興を深くお祈り申し上げます。
日本の和室や日常の暮らしに、爽やかな香りと安らぎを与えてくれる畳。その原点である「自然素材のい草」が今、かつてない激震と自然災害により存亡の危機に瀕しています。本コラムでは、日本のい草生産を支える熊本県の深刻な被災現状と、伝統文化を絶やさないために奥井畳店が開始した緊急支援の取り組みについてお伝えします。
1. 日本の畳の9割以上を支える産地・熊本県八代市を襲った重なる試練
私たちが普段何気なく目にし、足を踏みしめている畳表(たたみおもて)。その原料となるい草の生産において、熊本県は圧倒的な存在です。
① 全国のい草シェア約8〜9割を占める「命の産地」の現実
現在、日本国内で生産される国産い草の約8〜9割(シェア80〜90%以上)は熊本県、とりわけ八代(やつしろ)地域で生産されています。つまり、熊本のい草農家さんがいなくなってしまうことは、日本から国産の畳が姿を消すことを意味しています。
しかし、その八代市のい草農家さんにおいて、今回の熊本震災では「大なり小なりほぼ100%の農家が何らかの被害を受けている」という非常に凄惨な状況が起きているといいます。
しかし、その八代市のい草農家さんにおいて、今回の熊本震災では「大なり小なりほぼ100%の農家が何らかの被害を受けている」という非常に凄惨な状況が起きているといいます。
② 重なる惨禍:昨年の「大雨水害」から「熊本地震」へ
八代地域を襲ったのは一度の災害ではありませんでした。昨年の大雨による激しい水害によって、収穫直後のい草や畳表の浸水、作業場の冠水といった甚大な被害が発生しました。奥井畳店でも何かできないかということで、浸水してしまった畳表の中でも比較的マシなものを仕入れさせていただきましたが、部分的に黒くなって一般的な商品にはできないことが一目でわかる状態でした。
い草を畳の形へと織り上げる「織機(しょっき)」が何台も水没・破損し、1年が経過した今なお復旧作業が終わっていない農家さん、機械を直せないまま苦しんでいる農家さんが数多く残されています。
そうした復旧の途上、追い打ちをかけるように発生した今回の熊本地震。建物の全壊・半壊、作業小屋の倒壊、地割れによる水路の断絶など、激しい揺れが農家さんたちの営みを再び打ち砕きました。
い草を畳の形へと織り上げる「織機(しょっき)」が何台も水没・破損し、1年が経過した今なお復旧作業が終わっていない農家さん、機械を直せないまま苦しんでいる農家さんが数多く残されています。
そうした復旧の途上、追い打ちをかけるように発生した今回の熊本地震。建物の全壊・半壊、作業小屋の倒壊、地割れによる水路の断絶など、激しい揺れが農家さんたちの営みを再び打ち砕きました。
2. 10年前の震災との比較で見える「い草農家」の限界とデータ
今回の震災は、単なる一地域の災害にとどまらず、日本の畳文化そのものの存続を揺るがす深刻な打撃となっています。
① 10年前(2016年)と比べ、圧倒的に減少した農家数と蓄積した疲弊
10年前の熊本地震の際にも、い草農家さんは大きな被害を受けました。しかし、10年前と決定的に異なるのは「農家数そのものの減少」と「蓄積した疲弊」です。
高齢化や国産畳需要の低迷により、この10年で全国・熊本のい草農家数は大幅に減少しました。かつて数千軒存在した農家も、現在では約200軒ほどにまで落ち込んでいます。農家数が激減した状態での「昨年の水害」と「今回の地震」というダブルパンチは、10年前の震災時とは比べものにならないほど、産地全体の存続基盤に致命的な影響を及ぼしています。
また、10年前被災した際には自治体から倉庫立て直しに補助金が出ましたが、その条件は”10年間の事業継続”でした。その時の農家さんは、10年歳をとられています。「もう一度立ち上がろう」とする余力が削がれ、苦渋の思いで廃業を選択せざるを得ない農家さんが後を絶たないのが現実です。
高齢化や国産畳需要の低迷により、この10年で全国・熊本のい草農家数は大幅に減少しました。かつて数千軒存在した農家も、現在では約200軒ほどにまで落ち込んでいます。農家数が激減した状態での「昨年の水害」と「今回の地震」というダブルパンチは、10年前の震災時とは比べものにならないほど、産地全体の存続基盤に致命的な影響を及ぼしています。
また、10年前被災した際には自治体から倉庫立て直しに補助金が出ましたが、その条件は”10年間の事業継続”でした。その時の農家さんは、10年歳をとられています。「もう一度立ち上がろう」とする余力が削がれ、苦渋の思いで廃業を選択せざるを得ない農家さんが後を絶たないのが現実です。
② 水害被害からの未復旧が拍車をかける「復興への二重苦」
もう一つの深刻な要因は、昨年の大雨水害で受けたダメージが癒えないまま、今回の地震に見舞われたという点です。
い草を畳表へと織り上げるための専用機械「織機(しょっき)」は非常に精密で高価なものですが、昨年の水害で多くの機械が泥水に浸かりました。1年が経過した今なお、部品調達や修繕費用が出せずに復旧作業が終わっていない農家さんが数多く存在します。さらにその織機を直す修理屋さんも被災されています。当然修繕にはかなりの時間がかかると思われます。
設備が万全でない中での今回の震災は、農家さんたちの生産意欲そのものを奪いかねない「二重の試練」となって重くのしかかっています。
い草を畳表へと織り上げるための専用機械「織機(しょっき)」は非常に精密で高価なものですが、昨年の水害で多くの機械が泥水に浸かりました。1年が経過した今なお、部品調達や修繕費用が出せずに復旧作業が終わっていない農家さんが数多く存在します。さらにその織機を直す修理屋さんも被災されています。当然修繕にはかなりの時間がかかると思われます。
設備が万全でない中での今回の震災は、農家さんたちの生産意欲そのものを奪いかねない「二重の試練」となって重くのしかかっています。
3. 奥井畳店が挑む支援活動:一滴の水から始まる未来へのバトン
毎年産地である熊本へ足を運び、農家さんとともに汗を流してきた奥井畳店として、この危機をただ黙って見過ごすことはできません。
私の運営しているThreadsというSNSにて、熊本支援の声を上げさせていただきました。
私の運営しているThreadsというSNSにて、熊本支援の声を上げさせていただきました。
① 震災支援対象商品の売上半額を「農家への水提供」に還元
奥井畳店では、今回の熊本地震に対して緊急の復興支援プロジェクトを立ち上げました。当店で販売する震災支援対象商品「い草の消臭パック」および「畳の香り袋」の売上の半分(50%)を、現地で最も必要とされている「農家さんへの水(飲用水・生活用水)の提供」という形で直接支援しました。
SNSで呼びかけたところ、数多くのご注文をいただき、500ミリリットルのペットボトル24本入りのケースを51箱も送ることができました。
地震による断水や設備破損により、毎日の生活はもちろん、農作業や復旧作業に必要な水すら不足している現場へ、直接命と生活を繋ぐ支援を届けることができました。
SNSで呼びかけたところ、数多くのご注文をいただき、500ミリリットルのペットボトル24本入りのケースを51箱も送ることができました。
地震による断水や設備破損により、毎日の生活はもちろん、農作業や復旧作業に必要な水すら不足している現場へ、直接命と生活を繋ぐ支援を届けることができました。
② 10月末までの緊急支援と、未来へ向けた継続的な誓い
この「水の提供」を中心とした緊急支援プログラムは、まずは【10月末まで】をひとつの区切りとして実施いたします。
届けるものは水だけでなく、その時々に必要なものをお送りします。送る先をイ草農家に限定しているからこそできる、現場の声を直接聞いた必要不可欠なものです。
しかし、10月末が過ぎたとしても私たちの活動が終わるわけではありません。日本の伝統文化である「畳」を途絶えさせないためには、その根幹である自然素材のい草、自由で温かい和の空間、そして何よりそれを作り続けてくださる農家さんを守り抜くことが不可欠です。奥井畳店はこれからも、産地とお客様を結ぶ架け橋となり、い草文化を後世へ残すための取り組みを全力で続けてまいります。
届けるものは水だけでなく、その時々に必要なものをお送りします。送る先をイ草農家に限定しているからこそできる、現場の声を直接聞いた必要不可欠なものです。
しかし、10月末が過ぎたとしても私たちの活動が終わるわけではありません。日本の伝統文化である「畳」を途絶えさせないためには、その根幹である自然素材のい草、自由で温かい和の空間、そして何よりそれを作り続けてくださる農家さんを守り抜くことが不可欠です。奥井畳店はこれからも、産地とお客様を結ぶ架け橋となり、い草文化を後世へ残すための取り組みを全力で続けてまいります。
一枚の畳の向こう側にある「農家さんの想い」とともに
私たちが日頃届けている畳の一枚一枚には、熊本の豊かな自然と、どんな困難にも負けずい草を育て続ける農家さんの汗と想いが詰まっています。
今、私たちができることは小さく見えても、一人ひとりの温かいご支援が集まれば、途絶えかけた産地の大きな希望となります。「い草の消臭パック」や「畳の香り袋」を手に取っていただくことが、そのまま現地で汗を流す農家さんを支える力になります。
日本の心である畳と和の暮らしを未来へ繋ぐため、どうか皆様の温かいご協力を心よりお願い申し上げます。
今、私たちができることは小さく見えても、一人ひとりの温かいご支援が集まれば、途絶えかけた産地の大きな希望となります。「い草の消臭パック」や「畳の香り袋」を手に取っていただくことが、そのまま現地で汗を流す農家さんを支える力になります。
日本の心である畳と和の暮らしを未来へ繋ぐため、どうか皆様の温かいご協力を心よりお願い申し上げます。
Q&A:熊本産い草と震災支援に関するよくある質問
Q. 「い草の消臭パック」や「畳の香り袋」は、どこで購入できますか?
A. 奥井畳店の店頭および公式Webサイト(通販サイト)・お問い合わせ窓口にてご購入いただけます。
ご自宅用としてはもちろん、天然のい草が持つ優れた消臭・調湿効果とリラックス効果は、大切な方へのプチギフトとしても大変喜ばれています。10月末までの売上の半分が、熊本の農家さんへの水支援として直接届けられます。
Q. 中国産のい草と熊本産のい草では、どのような違いがありますか?
A. 泥染めの丁寧さ、茎の太さ・弾力、香りの持ち、そして何より耐久性が大きく異なります。
熊本八代産のい草は、厳しい品質管理のもとで大切に育てられているため、表皮が厚く身が詰まっています。そのため、使えば使うほど綺麗な黄金色に変わり、長く爽やかな香りと心地よい草の弾力を楽しむことができます。この素晴らしい品質を守るためにも、熊本の農家さんへの支援が必要不可欠です。
Q. 個人でできる支援には、他にどのような方法がありますか?
A. 国産い草を使った商品を選んでいただくことや、和室の畳替えの際に「熊本産畳表」をご指名いただくことが、最も大きな継続的支援になります。
支援商品を手に取っていただくことはもちろん、日常の暮らしの中で「国産い草の良さ」を再認識していただき、畳替えの際に「熊本産のい草で」とお声がけいただくことが、農家さんが未来へ向けて営みを続けていくための最大の励みとなります。
A. 奥井畳店の店頭および公式Webサイト(通販サイト)・お問い合わせ窓口にてご購入いただけます。
ご自宅用としてはもちろん、天然のい草が持つ優れた消臭・調湿効果とリラックス効果は、大切な方へのプチギフトとしても大変喜ばれています。10月末までの売上の半分が、熊本の農家さんへの水支援として直接届けられます。
Q. 中国産のい草と熊本産のい草では、どのような違いがありますか?
A. 泥染めの丁寧さ、茎の太さ・弾力、香りの持ち、そして何より耐久性が大きく異なります。
熊本八代産のい草は、厳しい品質管理のもとで大切に育てられているため、表皮が厚く身が詰まっています。そのため、使えば使うほど綺麗な黄金色に変わり、長く爽やかな香りと心地よい草の弾力を楽しむことができます。この素晴らしい品質を守るためにも、熊本の農家さんへの支援が必要不可欠です。
Q. 個人でできる支援には、他にどのような方法がありますか?
A. 国産い草を使った商品を選んでいただくことや、和室の畳替えの際に「熊本産畳表」をご指名いただくことが、最も大きな継続的支援になります。
支援商品を手に取っていただくことはもちろん、日常の暮らしの中で「国産い草の良さ」を再認識していただき、畳替えの際に「熊本産のい草で」とお声がけいただくことが、農家さんが未来へ向けて営みを続けていくための最大の励みとなります。