とある幼稚園児の男の子が、自宅のフローリングの上で転んで腕を骨折したそうです。家の中でもはしゃいでしまうのは多少仕方がないのかもしれませんが、怪我をしてしまうのは親としても心が痛いはずです。
その点、畳はフローリングと比べクッション性が高く、怪我をしにくくなっています。
小学生のころ近所の年上のお兄ちゃんに背負い投げされた時も畳だったから助かりました…(笑)

図はコンクリートやフローリングと比べた畳の衝撃吸収度を表しています。
コンクリートはもちろん固いので160という数字が出ています。

これは人間の頭部をモデルとした質量3.85kgの装置を、資料（床材）の測定点に規定の高さ（20cm）から自由落下させ、衝撃時の衝撃（G）を内蔵の加速度計で測定し、吸収力を判断するという実験です。
一般的には、安全性の観点から最大加速度（床の硬さ）は100G（980m/s2）以下が望ましいとされていますが、衝撃緩和型畳に求められた性能値は50G（490m/s2）と高い性能値になっています。

これは特に衝撃を緩和することに特化させた畳なので50という数値が出ていますが、一般的な畳であれば（よほど固い仕様になっていない限り）80くらいの数値にはなるかと思います。

フローリンの数値は140G。つまり安全とは言えない環境になっているので、安全基準を満たす畳の上で遊ばせるのが子供にとっても親にとっても安心ということです。

天然イ草にはリラックス効果を出すバニリンやフィトンチッドという成分が入っています。
実際2007年に北九州市立大の森田洋准教授が、小中学生３２３人を対象に算数の計算をさせる調査をしました。その結果、畳の部屋のほうが通常の教室よりも、解答数が１４．４％アップし、集中力が高まることがわかりました。低学年になればなるほど、環境の影響を受けやすく、集中力の持続が期待できます。
また、検証の中で「鉛筆を落としても大きな音がしなかった」とコメントがあり、畳の防音機能により集中する環境が作られていました。
このことから、畳の上で勉強させることが子供たちにとってよりよい学習環境になることがよくわかります。

夏に畳の部屋でゴロンと寝ころんだら気持ちがいいという経験をしたことはないでしょうか？
その理由は、イ草が湿度を調整する「調湿効果」を持っているから。
湿気が多い時には吸湿し、少ない時には放出することで、お部屋の湿度環境を良いものにしてくれます。

またイ草でできた畳表とベストパートナーなのは、稲わらでできた藁床。畳床とは畳の中身のことで、4～5㎝ほどの厚みがあります。
稲わらもイ草同様調湿効果がありますが、少しだけ性質が異なります。

イ草はゆっくり吸い込み、ゆっくり吐き出す。稲わらは素早く吸い取り、素早く吐き出す。

このようなバランスになっているので、よりお部屋の環境を快適にしてくれます。
そして稲わらは空気の層がたくさんあるので、裸足で歩いてもフローリングのようなひんやりとした感触がありません。
おかげで底冷えしてしまうこともないのです。

これらも子供たちの生活環境、学習環境にとって素晴らしい効果を発揮してくれます。

引っ越ししたばかりの時やリフォームが終わったばかりのお家に入ったとき、なんだかめまいがしたり頭痛がしたりした経験はないでしょうか？
僕は賃貸に引っ越しした時、2，3ヵ月なんだかずっと目が痛くて不快な思いをしたことがあります（ちなみに妻も同じく感じていました）。
おそらくこれらの原因は「シックハウス症候群」。

初めて聞いた方もいらっしゃるかもしれませんが、新築した建物の建築材料からの化学物質によって、空気汚染され、めまい、吐き気、頭痛などの症状が報告されており、これを「シックハウス症候群」と呼んでいます。

その原因物質は3つあり、
①石綿（アスベスト）
②クロルピリホス
③ホルムアルデヒド
です。

アスベストとクロルピリホスに関しては一般住宅や学び舎には今では使用不可となっていますが、③のホルムアルデヒドに関しては禁止はされておらず規制に留まっています。
微量であれば人体に影響がないという判断なのでしょうが、かつては問題がないと言われていたアスベストも禁止されていますし、現在でも僕のように実害を感じることもあります。
（また、とある建築士の意見では「規制されていると言えど施工が終わればわからないから見落とされがち」という意見もありました）

そんなホルムアルデヒドですが、イ草はそのホルムアルデヒドの吸着機能に優れています。
つまり天然素材を使った畳の上での生活は、こうしたシックハウス症候群からも人間の身体を守ってくれているのです。

特に敏感な子供たちが過ごす空間だからこそ、身体に良い環境で生活・勉強してほしいですよね。

畳の空間で過ごすことで、前述したバニリン・フィトンチッドの影響で、森林浴と同じ効果を得ることができます。
では「森林浴効果」とは一体何か？
答えは科学的実験が証明してくれました。

医科大学の衛生学公衆衛生学教室の准教授が「東京都内で働く健康な男女37人（25～56歳）に森林環境の中で2泊3日滞在してもらい、森林浴を毎日午前と午後それぞれ約2時間実施し、NK細胞の様子を調べました。
NK（ナチュラルキラー）細胞とは、ガン細胞やウイルスに感染した細胞を見つけて、それを破壊する免疫細胞（リンパ球）。ストレスによりNK細胞の働きは悪くなります。また、40歳以降から加齢と共にNK細胞の数は減っていきます。

その結果、森林浴後にはNK細胞の数が増え、NK細胞自身の活性も高まり、結果的に免疫機能が高まっていることが明らかになりました。
さらに准教授は、森林浴の実験が終了した7日後、30日後に採血をし、NK細胞の様子を調べたそうです。
すると、実験終了後でもNK細胞の活性は保たれ、１か月が経過しても、森林浴をする前よりも活性が上昇した状態が続くことがわかったのです。
これにより、月に1度の森林浴でも、NK細胞の活性が上昇し、ガンなどの病気予防に繋がるだろうと言われています。

そんなすごい効果の森林浴ですが、畳が同じ効果を出してくれています。
畳の部屋で活動することは、同時に免疫細胞を活性化させることになり、病気になりにくい身体作りができるということに他なりません。